胃がんの原因と言われているピロリ菌

日本人に多いとされる胃がん。
原因のひとつとして注目されるのが「ピロリ菌」です。
この菌の存在をより多くの人に知ってもらい除菌することで、胃がんの発症率を抑えられる可能性があります。
胃がんにならないためにどうすればいいのかを知るためにも、ピロリ菌について考えてみましょう。

どんな菌なの?

ピロリ菌は、胃の中に住みつき胃の粘膜を傷つける細菌です。「胃炎」「胃潰瘍」「十二指腸潰瘍」など代表的な胃の病気の原因と言われ、「胃がん」にも関係するといわれています。
このピロリ菌を除菌することにより、胃潰瘍や十二指腸潰瘍の再発を抑えられたり、胃がんになりにくくなるという研究結果も報告されています。
ピロリ菌なんてかわいい名前がついていますが、正式名は「ヘリコバクター・ピロリ」といいます。「ヘリコ」とは「らせん」とか「旋回」という意味があり、身近で言えばくるくるとプロペラを回して飛ぶヘリコプターのヘリコと同じです。
しかしなぜピロリ菌は強酸性下の胃の中で生育できるのでしょうか。
それは、胃の中にある尿素をアンモニアと二酸化炭素に分解し、アンモニアで酸を中和することにより、自分の身の周りの酸を和らげて生きているからなのです。

主な感染経路

食べ物や飲み水を介して経口感染するといわれています。ピロリ菌の感染率は衛生環境と関係していると考えられており、上下水道が充分普及していなかった世代の人(60代以上)で70%~80%と高くなっています。最近の若い世代の感染率は低くなっており、10代では感染率が20%以下となっています。
以前は「内視鏡検査でピロリ菌に感染するのでは?」との心配もありましたが、日本消化器内視鏡学会から「内視鏡の洗浄、消毒に関するガイドライン」が出され、また新しく洗浄器も開発されて、安心して検査を受けることが出来るようになりました。
(当院では、ガイドラインが出される以前から洗浄・消毒を欠かさず行って参りました。)

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検査

次のような検査方法があります。
● 迅速ウレアーゼ試験  胃内視鏡検査時に胃の粘膜の一部を採取して検査
● 尿素呼気試験  検査用のお薬を飲み一定時間経過後に呼気を検査
● 抗体測定法  血液を採取してピロリ菌に対する抗体の有無を検査
● 便中抗原検査  便を採取してピロリ菌抗原の有無を検査
それぞれの利点・欠点を踏まえ、患者様の病状により使い分けております。

治療

除菌療法として、胃酸の分泌を抑える薬と2種類の抗菌薬 (抗生物質)を7日間服用します。約8割の人は除菌に成功します。不成功の2割の方には別の治療薬がありますので、再度除菌療法を受けることができます(二次除菌)。
ピロリ菌の診断や除菌治療に関して、以前は胃潰瘍や十二指腸潰瘍のかたたちしか保険診療が認められていませんでしたが、 ピロリ菌が胃がん発生と深くかかわっていることが広く認められるようになり、平成24年からは慢性胃炎に対しても保険診療が認められるようになりました。但し慢性胃炎の診断には胃カメラ検査が必要です。